第12章 運命の天秤
卍 卍 卍
商店街を抜け、一通りの少ない道を3人は歩いていく。
「あの....羽宮君」
「一虎でいいよ。」
「一虎君。一虎君ってウチの3年なんスよね。」
「うん。」
「あの一虎みたいな有名人がウチの中学にいたらもっと騒がれてると思うんすけど」
『一虎は1年の一学期しか学校行ってないんだよ。』
「へ?」
リツカの答えにタケミチは疑問を覚える。
東卍のメンバーは曲がりなりにも学校に行っている人が多い。
それなのに一虎は学校に行っていないなんてことが有り得るのか?と。
「オレ少年院にいたから。」
「へ?」
「捕まってたんですか?」
「"アイツ"のせいでね。」
『.....』
そう呟いた一虎にリツカは悲しそうな表情を浮かべるとギュッと手を強く握りしめた。
「もう着くぞ。ほらもうすぐそこ」
「へ?ここっすか?ゲーセン?」
「もうとっくに潰れてっけど。」
一虎はそう言うと規制線を飛び越えて中へと入っていく。
「リッちゃん。とにかく芭流覇羅の目を盗んで場地を連れ戻すぞ((ボソ」
『......うん』
中に入った途端バタンッ!と扉が閉められる。
タバコの匂いなのかそれとも埃なのかツンとした匂いが辺りを立ち込め、視界が煙たい。
薄暗くようやく目が慣れあまりを見渡すと、ざっと30人はいるであろう芭流覇羅の構成員がこちらを睨みつけていた。
「(東卍とは明らかに雰囲気が違う。)」
『(ヤバい雰囲気.....)』
2人に緊張が走る。
そして恐る恐る奥へと進むとグチャッベシャッと何がを殴る音がより鮮明に聞こえてくる。
人混みを掻き分けながら進むと、そこには東卍の特服を着た場地と少年の姿が見えた。
「ぅ.....ぁ.....」
しかしその光景は異様で、金髪の少年に馬乗りになった場地がもう戦意喪失し、顔が血まみれの少年を何度も殴りつけていたのだ。