第12章 運命の天秤
「で、代わりに参番隊隊長になったのが」
「稀咲!」
「そう。元愛美愛主。愛美愛主も元々一枚岩って感じじゃなくてS63生まれ組の長内とH2生まれ組稀咲たちはバチバチだったらしい。」
「ふぅん。そっか。同じチームでも色々あるんだな。」
「マイキー君に長内君は負けて愛美愛主は事実上解散。で。稀咲率いるH2組は150人に膨れ上がった。」
『それがマイキーが言ってた勢力の拡大.....』
昨日のことを思い出してリツカは少し悲しそうに視線を落とす。
「東卍の中で稀咲の参番隊は他のどの隊よりもどデカくなったんだ。」
「長内についてたS63組はどうなったんだ?」
タクヤの質問に山岸は待ってましたと言わんばかりに眼鏡をクイッとあげる。
「残ったS63とH1を纏めたのは半間修二」
「確かに愛美愛主の仮総長って言ってた。」
「そしてその半間が愛美愛主と反東卍勢力をまとめて作ったチームが"芭流覇羅"。今じゃ芭流覇羅の構成員は300人」
『東卍の2倍か。かなり厳しい状況だね。それに年上だし。』
「しかも半間が芭流覇羅の総長?」
「チッチッチ。半間は総長代理。本当の総長は誰も知らない。総長の顔がない。だから芭流覇羅は首のない天使。そう呼ばれている。」
『天使.....』
その言葉にリツカの古傷がズキズキと痛む。
まるでそれはなにか不吉なことが起きることを暗示しているかのようで、リツカは言いようのない気味の悪さを感じていた。
「(そんなチームに場地君はいるのか。場地君を東卍に連れ戻すなら、とにかく本人に会うしかなさそうだな。)」
「元 愛美愛主をまとめたのがNo.2の半間。その他の反東卍勢力をまとめたのがNo.3の羽宮一虎だ。」
その瞬間
ブーブーとリツカの携帯が鳴った。
『誰だろ─────ッ!?』
「アオバ?」
『ごめん。オレちょっと出てくる。』
ガタンッ!勢いよく椅子から立ち上がり教室を出る。
そしてトイレに向かおうと足を進めた瞬間
─────ドンッ
誰かとすれ違いざまにぶつかった。