第12章 運命の天秤
卍 卍 卍
────翌日
「居た!リッカ君!」
廊下を歩いていると、息を切らしたタケミチがリツカの腕を掴む。
「ちょっといい?話があるんだ。」
『話すことなんて無い。』
「頼む。リッカ君!これだけでも見て欲しいんだ!」
『.....はぁ。わかったよ。少しだけだからね。』
タケミチに連れられ自分たちの教室に戻るとタケミチの席の前の席に座り向き合う。
「リッカ君。その傷どうかしたの?」
『え?ああこれ?なんでもないよ。転んだだけ』
そう言って笑うリツカの顔には絆創膏とガーゼが貼られている。
どう見てもそれは転んで出来たようには見え無い傷ではなく、まるで喧嘩した後のような傷だった。
「リッカ君。どういうことだよ。東卍を抜けて芭流覇羅に行くなんて....」
『言葉通り....としか言いようがない。昨日も話したでしょ。犯人は誰かわからないけど圭介は殺される。私はそれを止めたいの。』
「でも犯人が分からないんじゃ。どうしようも」
『そのためにオレは圭介の傍を離れる訳には行かない。もちろん圭介を連れ戻せるチャンスがあるのなら連れ戻すつもり。』
「.....」
『大丈夫。無茶はしないから。』
にっこりと笑ってみせるリツカにタケミチは心を痛める。
『それで?タケミチはどうしたの?』
「.....リッカ君。俺殺されるかも」
『それってどういうこと?』
「実は─────」
タケミチから告げられたことは衝撃的なものだった。
タケミチが東卍のメンバーになったこと
稀咲を東卍から追い出したければ場地を連れて戻し、タケミチが稀咲より有能なことを証明すること
そしてそれに失敗したらマイキーに殺されること
だった。
『また随分と無茶な賭けを.....』
「どうしよぉ.....俺殺されるぅぅ....」
『期間は?』
「芭流覇羅とモメるまで」
『かなり微妙なタイムリミットだね。』
「うん。てかさリッカ君。東卍の創設メンバーだったんだな。」
『創設メンバーって言ってもオレはマイキーと圭介のオマケみたいなもんだよ。』
「.....これを見てほしいんだ。」