第12章 運命の天秤
「参番隊隊長!!前に出ろ!」
マイキーがそう叫んだ瞬間
後方の方で足音が少しづつ前へ近づいてくる。
「どけ!」
開かれた道に二人の男が立っていて、1人は小柄で金髪。もう1人は大柄の黒髪だった。
少しずつ足音は近づいていき、小柄な少年がタケミチとリツカの横を通り過ぎようとした瞬間
─────ギロッ
青年は確かにタケミチを睨みつけた。
「(あれ?見た事ある。誰だっけ....?)」
『(あ、アイツは.....)あ、あぁ....』
「リッちゃん?」
青瓢箪のように顔を真っ青にしたリツカは何かに怯えるようにして手で口を塞ぐ。
そんなこと気にもとめず、青年はマイキーの前に立つと背を向けて座った。
「なんだアイツ。有り得なくね?」
「総長に背を向けて座りやがった!!」
「なんだテメェ調子乗ってんじゃねぇぞ!」
「オイ挨拶しねぇのか?」
「なんなんだ。あのヤロー」
四方八方からのブーイングが青年に向かって飛んでいく。
「よく聞けテメェら!俺の後ろに座っている方が
新 参番隊隊長 稀咲鉄太だ!!」
「!?」
『ッ.....!!』
稀咲を見た瞬間
今まで彼に貶められ、殺されたみんなの顔が浮かぶ。
【怖ぇーんだ。ただひたすらに稀咲が....】
【.....怖いんッスよ....ただ稀咲が.....兄貴を殺そうとした稀咲が.....】
【稀咲を殺す】
【お姉ちゃん....そんな悲しい顔しないで。例え死んでも....私はずっとお姉ちゃんの傍にいるよ....】
アッ君....海寿....ドラケン....杏花....
みんなみんなコイツのせいでッ!
突然叩きつけられる絶望にリツカはギリィと唇を噛み締め、タケミチは混乱したような表情を浮かべる。