第12章 運命の天秤
卍 卍 卍
ブォン────バブゥゥゥゥ──
バイクの音が眠らない東京の街に鳴り響く。
先頭を走るマイキーとタケミチに続くようにドラケン三ツ谷、リツカ、スマイリー、ムーチョの順でついて行く。
『(タケミチ。マイキーとニケツ出来ていいな.....)』
そんなことを思いながらグリップを捻り、必死にマイキーたちについて行く。
「リッカ。嫉妬すんなって!」
「リツカの特等席はマイキーの後ろだもんな!」
『なっ!嫉妬なんてしてない!』
揶揄う様に告げられたスマイリーとムーチョの言葉にリツカは図星を付かれ言い返す。
それを面白そうに三ツ谷とドラケンは笑う。
そうこうしている間にいつも集会で使う武蔵神社に到着するとバイクを止め7人は階段を挙がって行った。
【お疲れ様です!!】
出迎えてくれた隊員たちの間を通りマイキーとドラケンが壇上に経つ。
「これより 東京卍會 新 参番隊隊長任命式を始める!!!」
『「(参番隊隊長任命式!?)」』
ドラケンの言葉を皮切りに任命式が始まる。
「誰が任命されるのかな?」
「ぺーやん?」
「それはねーだろ」
「ドラケン君を襲ったやつが隊長になるか?」
「確かに」
「じゃあ誰だよ!」
「俺?」
「ンなわけねぇーだろ!」
辺りはどよっとどよめき様々な言葉が飛び交った。
「(本命不在....もしかして....いやまさかな。)」
『(どうしよう嫌な予感がする)』
無性に嫌な予感がリツカを襲った。
別に空気がどうのこうのでは無い。
ただ言いようのない不安がリツカの心の中を蝕んでいた。