第12章 運命の天秤
「ねぇ、リア。三ツ谷?」
『「マ、マイキー......」』
「おせーぞ!リッカ。もう俺ら風呂入っちまった。」
『?』
突然の言葉に理解ができず首を傾げるリツカにドラケンは言葉を紡ぐ。
「すぐ来るって言って何分かかってんだよ。」
どうやらリツカたちは銭湯に入りに行く約束をしていたようで、女だとバレるのを阻止するために時間を潰しながら銭湯に向かっていたらしい。
「リア。遅い」
『ごめんごめん。道渋滞してて』
「してなかっただろ。」
『してたの!』
スマイリーの余計な一言に言い返すとなら仕方ねぇな。という雰囲気が流れる。
「絶ッ対ェ許さねぇ。」
『えぇ〜.....』
「だってリアいつもそうじゃん。銭湯行くつったらその日用事あるとか、道が混んでたとか言って入ってくんねぇじゃん。」
『.....』
銭湯なんて入った瞬間女だってバレるに決まっている。
そしたら確実に私は東卍のお荷物になるだろう。
喧嘩なんてもっての他だ。絶対させてくれない。
それに私は世間一般では"蒼葉グループの跡取り息子"
女としてこの世に生を受け男として生きている。
何があってもバレる訳には行かないのだ。
「言われてみればそうだな。」
『あー.....ほら、オレの身体ちょっとアレだからさ。』
「そんなん誰も気にしねぇって」
『でも』
「でもじゃねぇ。」
『......はぁー。わかったよ。今度.....今度は一緒に入るから。それでいいでしょ?』
「ん。なら許す」
ご満足気に笑うマイキーにリツカはヒクヒクと苦笑いを浮かべるとはぁとため息をついた。
『(どうしよう.....)』
次はどんな手を使って逃げようかなんて考えていると
再び扉が開きタケミチが登場した。
「いよいよだな。タケミっち」
「主役のお出ましだ。」
「え?」
『いよいよ?』
「タケミっち行くぞ。新 参番隊隊長任命式だ!!」
『「.....へ!?」』