第11章 呪われし約束を胸に
卍 卍 卍
ドラケンとの面会を終えた3人はそれぞれの家に帰るのではなくナオトの家に身を寄せた。
「ドラケン君が死刑囚だったなんて」
【稀咲を殺す】
憎悪と殺意が混ざりあった声が3人の脳裏に浮かぶ。
『また稀咲鉄太かよっ.....アイツのせいで.....何もかもめちゃくちゃだよ....』
「....」
「ナオト....稀咲って奴は一体何者なんだ?」
ナオトはおもむろに自身の目の前にある資料を取り上げると、淡々とした声で読み上げていく。
「稀咲鉄太 現 東京卍會の最重要人物の1人にして"総長代理"。恐らく彼が姉と杏花を"殺し続けて"いる張本人。我々警察も総力を上げて捜索していますが、しっぽさえ掴めていません。」
『ここ数年の東卍の犯罪記録全部遡ってみたけど、結局全部がトカゲの尻尾切りだった....』
「過去でもまだ1度も会えてない。ぶっ倒そうにも手掛かりゼロか。」
部屋に重苦しい雰囲気が立ち込め、3人は沈黙する。
『でもさ....諦めるのはまだ早いんじゃないかな?』
「え?」
『魔法が使えるわけじゃないけど.....私たちにはタイムリープがあるじゃん。ドラケンの言う人生をやり直す力が.....』
リツカは天井に向かって手を伸ばし、そう呟くと決意を固めたような表情でタケミチを横目で見る。
「そうだな。ナオト.....やっぱりもう道は1つしかない────」
─────「俺が東卍のトップになる」
「え、あれ本気だったんですか....?」
「そうだよ!本気以外なんだって言うんだよ!」
タケミチは勢いよく立ち上がるとナオトに歩み寄っていく。
『それに義姉さんはそれでいいんですか!?」
『いいよ。ナオト....私ね。みんなに幸せになって欲しいんだ。それこそどんな代償を支払ったとしても......だから私はタケミチを東卍のトップにするために手を貸す!それが私に出来る唯一のことだから!』
そう言って笑うリツカにナオトは目を見開く。
前のリツカなら絶対に聞けない言葉だったからだ。