第11章 呪われし約束を胸に
「初めまして。橘直人です。」
「コイツとリッカ君のおかげで面会できたんです。」
「....そっか。で、用は?」
「俺ら....知らなくてドラケン君が殺人を犯して死刑囚だって....」
『何があったの?なんでドラケンが殺人なんて....東卍はどうしちゃったの!?』
切羽詰まる2人を前にドラケンは視線を落とす。
「....タケミっち。リッカ。俺は自分のした事を後悔してねぇ。ここにいるのも当然の報いだ。」
『(当然の報い....)』
わかっていても納得のいかない現実にリツカはギリィと血が滲むほど拳をにぎりしめる。
「東卍がこうなっちまったのも.....俺のせいだ。俺が"アイツ"を止められなかったから。 」
「....."アイツ"?」
『(誰のことだ?)』
「....東卍か....ガキの頃は良かったな。ただチームをでかくするって突っ走ってよ。喧嘩喧嘩で毎日が祭りみてぇで。東卍は俺の全てだった。」
『あの頃はすごく楽しかったよね。』
「ああ。もう1回人生やり直しても俺は同じ生き方を選ぶ。」
そう言ったドラケンはにっこりと笑う。
「後悔はねぇ。」
「(やっぱりドラケン君はドラケン君だ。変わってない)」
『(ドラケンらしい答え。昔から変わってない。)』
2人の顔にも自然と笑みが浮かぶ。
「....けどよ」
「....けど?」
しかし、ドラケンは視線を下げるとさっきとは違う雰囲気が辺りに立ち込める。
「本当にもう一度人生をやり直せるなら一つだけやんなきゃいけねぇ事がある。」
苦しそうに吐かれた言葉とは裏腹に手錠をちぎらんばかりに引っ張る。
『「え?」』
「稀咲を殺す!」
ゾクッ!!
3人の背筋に冷たい何かが走る。
それは紛れもなく憎悪と嫌悪が混ざった殺意だった。