第11章 呪われし約束を胸に
『私の居場所.....?』
俯いていたリツカは勢いよく顔を上げると、眠る海國に視線を向ける。
すると手にしていた手帳からポロリと紙がこぼれ落ち、リツカはそれを慌ててキャッチすると目を見開いた。
『これ.....』
そこに書いてあったのは【今すぐ東京を離れろ出ないと殺す。】の1文だった。
『(この手紙を送ってきてたのは海國と海寿だったんだ!)』
「あの子もこの子も。本当に貴女の事が大好きだったんだね。」
『海國....海寿.....』
「リツカくん。どうか自分を責めないで。あの子が死んだのも、この子がこうなったのも貴女のせいじゃない。」
『.....』
「海寿が生きていたら、海國が目覚めたら絶対そう言うからさ。気に病むんじゃないよ。」
『ありがとう....ございます。』
それからリツカは思い足取りで家路へと着く。
ネオンに彩られた眠らない街に人々の声が溢れる中、そんな声すらも聞こえないと言わんばかりに、ただ思い足取りでとある場所へと向かう。
『(12年前の10月31日の抗争.....血のハロウィン....私が知らない間に過去が改ざんされている。)
. . . .もう一度.....もう一度東卍について調べてみるか....』
リツカの呟きは人の声に埋もれ誰の耳にも届かない。
星のひとつすら見えない空を見上げがら、リツカはただ辛そうにお守りを握りしめるのだった。