第11章 呪われし約束を胸に
ピッピッピッピッ.....
機械音が無機質な白い空間に響く、アルコールと薬品の匂いが混じり合いむせ返るような部屋の中に管に繋がれたやせ細った青年が眠っていた。
『12年ぶりね.....海國。』
「.....」
小枝のように細い彼の手を優しく握りしめるとリツカはゆったりとした動きで椅子に座った。
『随分と長い年月が経っちゃったね。お見舞い来れなくてごめん。』
「.....」
『今日はさお見舞いも兼ねて報告と聞きに来たんだ。って言っても吉報ではないんだけど.....』
リツカはそう言うと覚悟を決めた表情を浮かべゴクリと固唾を飲んだ。
『.....海寿が東卍に殺された。私も殺されそうになった。』
「.....」
『ねえ、海國....ここ数年で何があったの....?なんでアンタが....仲間思いで優しかったアンタがなんでこんなことに.....』
「あれ....?」
『!?』
眠り姫ならぬ眠り王子に問いかけていると、聞き覚えのある声が聞こえていた。
「あなたは......」
『あ、その....』
「リツカ、くんじゃない....久しぶりね。覚えてる?」
『はい。ご無沙汰しております。美園さん。』
美園(みその)と呼ばれた彼女は懐かしいわ。そう呟いくと瞳にうっすらと涙が浮かばせる。
「よく来たね。今日は海國のお見舞いに来たの?」
『はい。お忙しい中すみません』
「いいって!私の方こそ悪いね。本当はこんなとこ来たくなかったでしょ?妹を殺した家族のところなんて......私あなたにどう詫びたらいいか.......」
『そんなことありません。海寿は悪くありません。悪いのは東卍です。だから気に病まないでください。』
「そっか。ありがとう。そう言って貰えると少し軽くなるよ......忙しいだろうにわざわざ来てもらって悪いね。それはそうと今日はどうしたの?」
『その....海寿が....その、な、亡くなって不謹慎だとはわかっています。ですが、海國がどうしてこんなことになったのか.....真実が知りたくて....』
「ああそっか....その事でね。」
美園は言葉を濁すとバツが悪そうに視線を泳がせる。