第11章 呪われし約束を胸に
─────バチンッ!!
『ッ.....』
「ん?リツカ言ってみなさい。巫山戯ているのはどちらだ?」
『お、オレ.....です。』
絞り出された声に父はにっこりと笑う。
「そうだ。お前は蒼葉グループの跡取りであり私の"息子"。慎ましくそして勤勉で完璧でなければならない。それなのにお前はこの私たちに逆らい、挙句の果てには逃げ出した。」
『.....』
「それが悪い事だとは言ってないよ?だが約束が違うじゃないか。杏花を自由にする代わりに自分が犠牲になる.....そう言ったのは誰だい?」
『オレです....』
「そうだ全てお前が言ったことだ。」
『ッ.....わかっています。私のことはいくらバカにしても構いません!でも東卍のことや杏花のことをよくもそんなっ!!』
「リツカ!」
『娘の葬式にすら行こうとしない親がそんなこと言わないでください!!』
「はぁ....またそれか。いいかリツカ。あれは私たちの娘ではない。何度同じことを言わせるんだ。あれはお前を陥れた出来損ないだ。」
『クッ....!』
「お前はこれから跡取りとして慎ましく立派に生きなければならない。口調も態度も全てを気をつけなさい。」
『それとこれとは話が違────』
────バチンッ!!
口答えをしようとした瞬間
また強烈な張り手がリツカを襲った。
『ッ.....』
「リツカ!!....杏花のことも佐野万次郎のことも忘れなさい。あれはお前の妹でも私たちの娘でもないんだ。もう過ぎたことだ。」
父親は重々しいため息を吐くと憎たらしい晴天を見上げる。
『(ああ。何年経っても変わってないな.....この人たちは)』
ギリィッと血が滲むほど拳を握りしめるとギロリと父親と母親を睨みつけた。