第11章 呪われし約束を胸に
卍 卍 卍
あれから数日の時が過ぎ去っていく。
最愛の妹を失ったリツカはその数日を抜け殻のように過していた。
流れるようにすぎていく時間
伽藍堂の心
全てが冷たく何も感じない時間がゆっくりと過ぎ去っていく。
「リツカ様。旦那様と奥様がお呼びです。」
あの日から何ひとつとして変わらない部屋であの頃のように窓辺であの日と変わらず憎たらしい晴天を見上げていると扉の向こうから小さく侍女の声が聞こえた。
リツカは気だるげそうにチラリと扉を一瞥すると立ち上がり『わかった。』と短い返事をして部屋を出た。
────コンコン。
「入りなさい。」
『.....失礼します。』
「久しぶりね!やっと帰ってきてくれたのね!リツカ!ああ....尊い子私の子....」
『ご無沙汰しております。"お母様"』
「私のリツカ。私の特別な子。おかえりなさい。」
『はい。(気持ち悪い.....)』
「ああ。やっぱり私の王子様だわ!リツカ!」
「静かにしなさい。お前の声は響く。」
父親は忌々しそうにそういうと万年筆を置いて席を立ち上がる。
『.....』
「久しぶりだな。リツカ」
『お久しぶりです。"お父様"』
ニヤリと父は笑うとリツカの頬に手を当てると自分と目を合わせる。
「その服似合っているよ。さすが私の"息子"だ。」
渡された高そうな男性物のスーツを身につけたリツカを偉そうに見下ろす父。
『....』
「リツカ。帰ってきてくれて嬉しいよ。」
『.....いるべき場所に戻っただけです。わた....オレは蒼葉グループの跡取りですから。』
「そうだお前は蒼葉グループの跡取りだ。ようやくわかったか。やはりあの方に命令したかいがあったな。」
『あの方.....?それはどういう意味ですか?』
「いや.....今までお前の身勝手な行動、言動全てがどれだけ周りに迷惑をかけたかという話だ。」
『.....』
「やはりアイツらと引き離して正解だった。」
『....アイツら?』
「東卍という低俗で汚れた集団のことだ。」
『なっ!!』
「お前は特別な子だ。気高く特別な存在。佐野万次郎や杏花という低俗なのとは違う。」
『ふざけ────』
「巫山戯ているのはどちらだ!リツカ。」