第10章 つかの間の幸せと絶望は死神とともに
『例え.....12年前に捨てた古巣だとしても....東卍は私の宝だ!お前が....お前らが気安く触れていいものじゃない!』
「!?」
声高らかにそう叫んだリツカはダンっ!!と踏み込みを入れるとふわりと飛躍し、半間から御守りを奪い返す。
そしてあの頃と同じように鋭い青紫の炎が宿る瞳で半間と稀咲を睨みつけた。
睨みつけられた半間は最初こそキョトンとしていたがすぐに右手を額に当て、ククッと笑い出す。
『何がおかしい(嫌な予感がする....)』
「あ〜いいなぁ。やっぱりあの頃と何も変わんねぇ。その瞳も志しも全部あの頃のままだ。嗚呼....やっぱり....やっぱり──────」
───────「壊しがいがあんじゃねえかよォ。」
狂喜を孕んだ笑みがさらけ出された瞬間
ゾクッ!となんとも言えない恐怖が背中をなぞると同時になせが不意に半間の言葉が鮮明に思い出させられる。
【車乗ってねぇのかよ。】
【まとめて殺っちまおうと思ってたのによォ。】
【俺たちは欲しいものを手に入れるためだったら手段を選ばない】
『まさかっ!!』
「じゃあなぁ天使チャン。せいぜいつかの間の幸せをたっぴり味わうことだなぁ。」
すれ違いざまに言われた言葉を無視しリツカは杏花が待つ車へと走り出す。
半間と稀咲はそれを見送ると、踵を返した。
「つかの間の夢が覚めた時....オマエは俺たちの元に堕ちることになる....」
「青紫の瞳を持つ天使よ...その日はもうすぐそこだ。」