第10章 つかの間の幸せと絶望は死神とともに
狂喜と威圧が混濁する
─────殺気だ。
「何で?何でってそんなの決まってんだろ。」
─────「オマエが欲しいからだよ。半間も俺もな。」
その声と共に一人の男が暗闇から現れた。
『お前はっ!!』
「久しぶりだなぁ。俺の天使様。」
『稀咲鉄太っ!!』
「相変わらず綺麗な瞳だな。」
「何だよ。稀咲来てたのかよォ。」
『(何で稀咲がここに.....?)』
半間はリツカの手の拘束を解くと、漆黒の空に両手を広げ、面白おかしく告げる。
「なぁ天使チャン。俺個人が欲しいってのもあるけどよぉ.....知ってるかぁ?」
『?』
「オマエは自分で気づいてないだけですっげぇ才能を持ってる。俺たちはそれが欲しい。」
稀咲はそう言うとリツカの胸に指を指す。
『力?何の事....』
「そう。天使チャンは俺たちにとって特別な存在なんだよ。だから手っ取り早く手に入れるためにマイキーに近づいた。」
『意味がわからない.....何でマイキーをっ....』
「俺たちは欲しいものを手に入れるためだったら手段を選ばない。」
リツカの顔が絶望へと変わる。
それを見た半間と稀咲はさらに笑みを深めるとリツカの目の前にいつの間にか奪い取った御守りを見せつける。
『っ!?返せ!!』
「おっと。なんだよ。そんなにこれが大事か?自分が捨てた東卍との繋がりが.....」
『っ....』
伸ばしていた手を力なく下げると目の前のリツカが俯いた。