第10章 つかの間の幸せと絶望は死神とともに
「へぇ。あの日はお前にとってそんなに軽いものだったんだな。」
『?』
「10月31日。血のハロウィン。俺らの運命を変えたあの日....」
『っ!』
"血のハロウィン"
その言葉を聞いた瞬間
ズキンッ!と背中の古傷が痛むのを感じた。
「古傷が痛むかぁ?身体は覚えてる見てぇだなぁ。」
『?(どういう事....)』
痛みに気を取られているリツカを見て半間がさらに笑みを浮かべ、一瞬でリツカに詰め寄ると枝のように細いリツカの腕を掴んで拘束した。
『はな、せっ....』
壁に突きつけられた衝撃でリツカの首元から、異様に膨らんだ御守りが飛び出した。
半間はそれを見るとさっきまで浮かべていた狂喜の笑みから冷たい表情へと変わる。
「チッ。まだこんなモン持ってたのかよ。」
『当たり前でしょ....これは(あの日の御守りなんだから)』
「当たり前ね......なァ天使チャン。いつまでアイツらの幻影を追いかけるつもりだ?」
『.....?』
「場地圭介.....アイツはもう死んだ。」
『え......』
その言葉を聞いた瞬間
抵抗していたリツカの体から力が抜ける。
「マイキーだってもうこっちに堕ちてあの頃のマイキーはもういねぇ。」
『っ!?(嘘.....堕ちたって言うことは.....まさかっ)』
「守るモンも、奴らもとっくの昔にいねぇのに天使チャンはずっとアイツらの幻影を追いかけて....なんでそんなにアイツらに執着してんの?」
『アンタこそなんで私に執着するの.....?』
声が震える。まるで喉の奥に何かが詰まったようにギュウゥと器官が狭まり息ができない。
リツカはこの感覚がなんなのか良くして言っていた。