第10章 つかの間の幸せと絶望は死神とともに
「今日お前ら呼んだのはさ、来月からやっと切らしてもらえることになったから、カットモデルやって欲しくて....ほら、初めての客約束しろ?タケミチ」
鏡を拭いていたアッ君が振り返ると、あの時とは違う爽やかな笑みを2人に向けた。
「グズ.....」
「なんだよ。忘れたのかよ。」
「バカ、忘れてねぇよ!」
「泣いてんのか?」
「バカ、泣いてねぇ!」
「えぇ....」
『泣き虫....』
「リッちゃんこそ!」
悪態をつきながらタケミチはグイッとと乱暴に涙を拭う。
「リッちゃん....オレやっとわかった。変えたんだ!未来をっ」
『うん。そうだね、本当に成功したんだよ!やったね!ヒーロー!』
「ああ!やったな!天使サマ!」
2人で喜びを分かちあっているとタケミチの携帯が鳴る。
『?誰から?』
「知らない番号。」
スマホの画面をタップしてタケミチはリツカにも聞こえるようになるべくリツカに近づいて電話に出る。
「もしもし」
「成功したんですね」
「あ?誰?」
「そして今過去から戻ってきた」
「っ!?ナオト!」
『タケミチ!スピーカーにして!』
「う、うん。」
タケミチは急いで自身の耳からスマホを離すとスピーカーを押す。
「すごい。やってくれましたね!2人とも。全てが変わってる!タケミチ君、義姉さん。姉さんと杏花に会いに行きましょう!」
「『え....』」
「(ヒナが────)」
『(杏花が────)』
─────「『(生きてる!?)』」