第10章 つかの間の幸せと絶望は死神とともに
──────傷跡だ。
左腕に大きく残った傷跡.....
間違いないこれは12年前のあの日
ドラケンを助けるために負った傷だ。
『夢じゃなかった.....?』
「アオバさん?どうしたんすか。」
リツカは自身の左腕をゆっくりなぞる。
ケロイドになってしまった傷は少しボコボコしていてあれが現実だと言わんばかりにキヨマサに刺された時の記憶が鮮明に呼び起こされる。
『(違う....夢じゃない!あれは全部現実だったんだ!)』
「?おーい?」
「っ!ごめん!!海寿!これ代わりに一課に届けてきて!!」
「はぁ!?」
『本当にごめん!でも私行かないと!』
「はぁ....わーったッス。その代わり今度焼肉奢ってくださいっすよ!もちろん飲み放題付きで!先輩にも課長にも上手く言っときますから。」
『ありがとう!!本当助かる!』
集めた数枚の資料を海寿に手渡し、机に散らばった私物を急いでまとめるとバックを引っ付かむ。
「お疲れさまッス。”帰り道には気をつけて下さいッスよ”」
背後から聞こえる海寿の声を背にリツカは急いで退勤した。