第10章 つかの間の幸せと絶望は死神とともに
『!?(うそ!?なんで......どういう事!?私ナオトと同じ部署だったはずだよね!?)』
「おーい、早く持って行かないと先輩に怒られるッスよ?課長こっちめっちゃ睨んでるし....」
『え』
同僚の声にハッ!と我を取り戻し、顔を上げるとかつてのリツカの右腕だった花瀬 海寿の姿が目に入る。
『(え.....何で海寿がここに?)』
「最近ボォーってしてますけど大丈夫ッスか?俺が代わりに届けましょうか?」
『あ、いや....大丈夫。あのさ、ひとつ聞いていい?』
「はい。改まってどうしたんスか?」
『ナオト.....橘直人ってうちの部署だったよね?あと何でここに海寿が居るの.....?』
「タチバナ?......あ〜アイツか。アイツは別っちゃ別ッスね。」
『え!?』
「ほら、組織犯罪対策課つっても一課とか二課とかあるでしょ?俺らは二課ッスけど、タチバナは一課ッス!
あと俺がここにいるのは昨日から配属されたからッス!忘れたんスか!?」
バディ組んでるのに!?と海寿は声を荒らげる。
『そうだった!そうだった!ごめん。疲れてんのかな.....あはは』
「無理しないでくださいッスよ。ここ最近激務だったし疲れてんスよ。予定だってあるんですしここは俺に任せて上がってもいいスよ?」
『大丈夫大丈夫!直ぐに届けてくる!』
「う、ウッス。(大丈夫かなぁ....)」
ガタンッ!!
同僚の佐々木の言葉にハッ!と我を取り戻すと大きな音を立てて立ち上がりすぐさま資料を持った瞬間
足が解れツンのめりリツカはそのまま転けた....
『あ....』
空を飛ぶ資料たちはまるで引き寄せられるように目の前の同僚目掛けて飛んでいく。
「わ゙────ッ!!!」
『いったた....』
「おいー!!!たいっ....じゃなかった!アオバさん!アンタ何してくれとんじゃー!!」
『ごめんごめん!ケガない!?』
「いや、ねぇッスけど、アオバさんこそ大丈夫ッスか?言わんこっちゃねぇ。マジで疲れてんじゃねぇッスか?」
『そういう訳じゃ....』
「ったく....ほら、手伝ってやっから早く行きますよ。」
『すみません。』
転けた拍子に散らばってしまった資料に手を伸ばした瞬間
目に映ったあるものにリツカは目を見開いた。