第10章 つかの間の幸せと絶望は死神とともに
─────2017年 東京
「おーい?蒼葉。その報告書終わったらこのダンボール、一課に届けてきてくれないか?」
『え....先輩?』
「俺これからさっき来た奴の取り調べでよ〜手が離せないんだワ、頼めるか?」
『!?』
タイムリープの影響で混濁した意識と突然の現状に混乱した脳が一瞬フリーズする。
『(職場.....?)』
状況を理解するために何とか頭を整理して、キョロキョロと当たりを見回すと目の前には数時間稼働し続けていたであろうパソコン、容疑者の写真が貼ってあるホワイトボード。
どう見ても自分の職場で、自分も男用のスーツを身にまとっていた。
『(え?え?どういうこと!?)』
「おーい?蒼葉?聞いてるかぁ〜?」
『え?あ、はい。わかりました。もう終わったので届けてきます。』
「悪いな!それ終わったらもう上がってくれていいから。」
『わ、わかりました....』
「本当に悪い!この後予定あるって言ってたのにな。じゃあ、頼んだ!」
ドサドサドサッ!!とリツカの机にダンボールを置行く。
『いやいやいや、多くないですか!?』
「悪いな!頼んだぞ!我が後輩!」
Σ(ノ≧ڡ≦)てへぺろ☆
『え!ちょっ─────え〜逃げ足はやっ』
逃げるように去ってく先輩を尻目にリツカははぁと大きくため息をついた。
『仕事中....だったんだ(ってこんなことしてる場合じゃない?杏花は!?みんなは?どうなったの!?)』
急いでポケットからスマホを取り出すと、約1ヶ月近く前のあの惨劇について調べる。
【検索条件と十分に一致する結果が見つかりません】
『(いくら検索しても杏花が死んだ事件が出てこない。ヒナのこともだ....もしかしてタイムリープは夢だった!?そうだナオト!ナオトなら───)』
隣の席にいるはずの人物に視線を向けると、そこには誰も座っておらず、あるはずの直人の席が跡形もなかった。