第9章 8・3抗争
「半間が言ってたんだよ。オマエはいずれ自分から俺たちの物になるってそれってどういう意味?」
どういう意味と言われてもわかるわけが無い。
だって私は半間と会うのは今回が初めてだ。
面識なんてない。
どの答えが正解なのか、どの答えが不正解なのか考えあぐねていると、待ちくたびれたのかマイキーから黒いオーラが放たれ、少しずつ背中に回っていた腕に力が入っていく。
まるで早く答えろ。
と言わんばかりの行動にリツカは急いで言葉を紡いだ。
『わ、かんない....そもそも半間とあったのは倒れた時が初めてだから.....』
「倒れた時ってもしかしてこの前の?」
『うん』
リツカは静かに頷くと半間と初めて出会った時のことを話す。
狂気に染った笑みも
人を人とすら思わない言動も
睨まれただけで殺されてしまうんではないかという狂喜を抱く瞳も
全てがただ怖くて、おぞましい。
思い出すだけで、ふつふつと腹の底から恐怖と嫌悪感が溢れ出し、苦い汁が口の中に広がった。
『それ、にオレは.....アイツのモノになるつもりはないよ....』
「なぁ、リアはオレを置いて行かないよな?」
『.....行かない、よ。』
「自信持って言えよバカ....」
『ごめんね。』
拗ねたように呟いたマイキーの頭を優しく撫でる。
12年後 私は恐らくマイキーの側に居られない。
私は絶対に彼を置いて行ってしまう。
それでも約束する。
私は今も、この先も、ずっと貴方だけを思い続けるよ.....
たとえ、運命がそれを許さなくても─────
『オレはずっとマイキーの物だよ。』
「ん。リア、ケンチンを助けてくれてありがとうな。」
『どういたしまして。.....ねぇマイキー一つだけ我儘聞いてくれないかな....』
「何?」
『これを持ってて欲しいの。』
そういうとリツカはポケットからペリドットの石のついたピアスを取り出すと握らせた。