第9章 8・3抗争
8月10日
メビウスとの抗争から1週間───
あれだけ慌ただしかった日々は何の変哲もない日常を取り戻し始めていた。
「ちわーっす!リッカ君!」
『あ!タケミチ、丁度良かっ、た.....は?』
正道さん(ドラケンの育ての親)に頼まれ、ドラケンのお見舞いついでに着替えを届けに行こうとしていた矢先。
背後からタケミチの声が聞こえ振り返った瞬間愕然とした。
『....何そのダッッッッサイ服』
「え!?リッカ君酷くね!?」
『今どきそんな服厨二病でも着ないよ。どこでそんな服買うの?そのサングラスもダサい。』
「ア、アオバやめてやれ....流石にタケミチ泣くぞ。」
『いやでも、これはヤバいよ。三ツ谷が見たら卒倒するか殴りかかってくるレベルだよ。ダサすぎて....』
「何だよ!さっきからダサいダサいって!流石に泣くよ!?俺!」
涙目に成りながらギャーギャーと訴えるタケミチをなだめつつ、リツカは目的地へと向かうために歩き出す。
『はいはい。ごめんごめん。ところでタケミチとアッ君もドラケンのお見舞い?』
「俺は途中まで一緒に行くだけ。」
「俺はドラケン君のお見舞いに行くよ。リッカ君も行くの?」
『うん。着替えとか届けないとだしね。なんなら一緒に行く?』
「うん!」
それからアッ君と別れドラケンが入院する総合病院へと2人は足を運んだ。
『タケミチ、私受付済ませるから先行ってて。』
「わかった!」
『すみません。龍宮寺のお見舞いに────』
「リッカ!」
『?』
背後から声が聞こえ、振り返ると少し眉を下げたぺーやんが立っていた。
『ぺーやん。どうしたの?病院で大声出したらダメだよ。』
「あ....悪ぃ.....そ、そのちょっといいか?」
『....いいよ。ここじゃ他の人の邪魔になるし少し移動しようか。』
「お、おお。」
タケミチにメールで【ちょっと出てくる】と一報を入れリツカとぺーやんは歩き出す。