第9章 8・3抗争
「あれ?そういえばマイキー君はどこだ?」
『そういえば.....』
しばらく泣いた後、リツカとタケミチは一向に姿が見えないマイキーを探す。
「リッカ君、俺マイキー君探してくる。」
『あ、オレも行く!』
2人はみんなから離れるとそれぞれに別れてマイキーを探した。
すると、人気のない場所で壁に背を預け立っているマイキーの姿が見えた。
『あ、マイ─────』
「......」
『!』
リツカが声を掛けようとしたが思いとどまった。
目の前にいたマイキーがまるで糸が切れたようにずるっと壁に背中を預けたまま座り込んだ。
「.....よかった。ケンチン」
手で額を覆い隠した彼から発せられた声は酷く震えていた。
わかっていた
マイキーが気丈に振舞っていることなんて
彼が人前で涙を流さないことなんて
わかっていたんだ。
なのに支えてあげられなかった自分にリツカは無力感を感じる。
「心配かけさせやがって」
『(そばに居るのに支えてあげられないのはつらいな.....)』
せめて彼が思いっきり泣けるようにその場を去ろうとした時
パキッ!
「!!?」
砂利を踏んでしまい音が鳴った。
するとリツカの存在に気づいたのかマイキーは慌てて涙を拭った。
『あ....』
「何してんの?リア」
『っ.....』
取り作られた笑顔を前にいたたまれなくなったリツカは唇を噛む。
唯一彼の泣ける時を奪ってしまったと後悔の念がふつふつと湧き上がると同時に痛々しい彼の笑顔を見るのが辛くて目をそらす。
『ごめん.....その....み、見るつもりは.....』
「......リア。来い。」
『.....』
気まずさが漂う中、リツカはマイキーの側まで近寄る。