第9章 8・3抗争
『なんでこんな事に....っ!なんでだよ!!抗争の火種は止めたはずでしょ.....なのになんで....またドラケンが....』
「リッちゃん....」
「タケミチ君!リッカ君!!」
「ヒナ...」
『エマ....』
「ドラケンは!?」
遅れて到着した溝中五人衆とヒナとエマにタケミチが説明すると、エマは絶望したような表情を浮かべ、大きな瞳からポロポロと涙を零した。
「そんな....心肺停止って....」
「嘘....嘘って言って.....怖いよぅヒナぁ....」
「エマちゃん....」
『エマ。コレを』
涙を流すエマに近づいたリツカはそっと手を取ると、彼女の掌にピアスを乗せた。
『オレが持ってるより、エマが持ってる方がいいかなって。』
「っ.....」
『大丈夫。ドラケンはこんなところで死んだりしない。だからさ、ドラケンが目が覚めたらエマが渡してあげて。』
「リツ兄.....」
『大丈夫だから、な?』
自分だって不安で泣きたいだろうに無理矢理笑顔を貼り付けリツカを前にエマはさらに涙を零した。
「タケミっち!リッカ!」
「!」
「ドラケンは!?」
『三ツ谷....ぺーやん』
重々しい雰囲気の中現れた2人にタケミチは事情を説明する。
すると、三ツ谷は悔しそうに拳を握りしめ、壁を殴り付けた。
「病院着く前に....もう、脈が.....」
「クソッ」
するとペタペタとセッタの音が聞こえ、その場の全員が視線を向けるとボロボロのマイキーがこちらに向かってきていた。
「マイキー君......ドラケン君が!!」
「マイキー!!」
「マイキー!俺.....」
「みんなうるせぇよ。病院なんだから静かにしろ。待合室どこ?」
冷静なマイキー共に待合室に向かうと、エマの泣き声が聞こえてくる。
「マイキぃぃ....」
「.....」
泣き腫らした目でこちらを見つめるエマにマイキーは何も言わず、ポンと肩に手を置くと、赤いランプの着いた扉を眺めた。