第9章 8・3抗争
卍 卍 卍
ピッ!ピッ!ピッ!
緊張の走る救急車の中
ドラケンにつけられたバイタルサインの危険信号の音だけが鳴り響く。
「(頼む。助かってくれ!)」
『(お願い.....ドラケン.....死なないで!)』
目の前で青白い体を横たえるドラケンを前に2人は祈るように拳を握り込む。
するとドラケンが2人に向かって手を伸ばした。
「ドラケン君!」
『ドラケン!』
「タケミチ....ありがとう、な。お前は俺の恩人だ。」
「よしてくださいよ。そんな言葉(セリフ)ドラケン君に似合わないっすよ。」
『そうだよ.....タケミチの言う通りだよ。』
握っている手が段々と冷たくなっていく。
それはまるで12年前のあの日のようでリツカの顔が段々と青ざめていった。
「リッカ.....オレの....ピアス、取れ....」
『え....』
「早くしろ」
震える手でリツカはドラケンの左耳につけられたピアスをとる。
「もし.....オレに、何かあったら.....それをエマに渡して欲しい.....」
『何言って.....』
「リッカ.....自分を責めんなよ。真一郎君、のことも、オレの事も....お前のせいじゃねぇ。」
『やめてよ。まるで最期みたいじゃん....』
「泣くな.....」
ドラケンはそう言うと泣くリツカの涙を拭う。
「マイキーを.....頼む....」
『「え......」』
ずる....とリツカの頬から手が落ちた瞬間
────ピーッ!
モニターから心拍が止まった音と共に0という文字が表示される。
「ドラケン君?」
『そんな.....嘘でしょ....』
「心肺停止!!君たち!!下がって!!」
「気道確保!」
「胸骨圧迫!1・2・3・4・5・6!ダメです!戻りません!! 」
「もう一度!!」
『嫌だ.....嫌だよ......』
「ドラケン君────ッ!」
脈拍が止まり、無機質な機械音と緊迫した空気だげ救急車の中に渦巻く。
目を瞑ったままのドラケンは目を開けることはなく、病院に到着するとすぐに手術の奥へと運ばれて行った。