第9章 8・3抗争
『も、限界.....』
「アオバっ!」
それを見送ったリツカはカランッ!!と小刀を落とすと、まるで糸が切れた人形のように力が抜ける。
アッ君がそれ即座に受け止めた。
「オマッ!その傷で無茶すんなよ!」
『えへへ....ごめん。』
「でも....すっげぇかっこよかったぜ!アオバ」
『アッ君も最高にかっこよかったよ。』
「にしてもヤベェ.....」
「あのレッド君がものの数秒で....」
「やっぱ。東卍の隊長クラスはバケモンだな....」
「リッカ君の蹴り....マイキー君に似てたな。」
敵を撤退まで追い込んだリツカを見て誰もが唖然とする。
そんな中リツカはレッドに視線を向けると重い体を引きずるように起き上がり、乱暴に髪の毛を掴みあげた。
『オイ、レッド』
「ひ、ひぃ!」
『オマエこれで終わりじゃねぇからな?後で誰が裏で意図引いてたかきっちり吐いてもらう。逃げんじゃねぇぞ?てか逃げてもオレはテメェらを地の果てまでだろうと追い込みかけて吐かせるからな。こっちも無駄な労力はかけたくねぇ。わかってるな?』
「は、はい!」
『はいとか生ぬるい返事してんじゃねぇ!復唱しろ!!』
「ひぃ!!き、キヨマサを連れてご、後日集会に処罰を受けに来ます.....」
『それでいい。忘れんじゃねーぞ。忘れた時はテメェらこの街に居られなくしてやんよ。』
【こ、こわー】
溝中五人衆がレッドを見つめるリツカの殺気の籠った瞳に怖気を抱いていると、それを楽しそうにドラケンは笑った。
「リッカ!」
『ん?』
「やっと帰ってきたな。待たせやがって。」
「「「「「???」」」」」
『....そうだね。ただいま!』
意味深なドラケンの発言に誰もが疑問を覚えるが、言葉を意味を理解したリツカだけは嬉しそうに笑う。
「って!こんなことしてる場合じゃねぇ!早くドラケン君とタケミチとアオバを救急車に!!」
「タケミチ。これで止血しろ。」
「ドラケン君立てる?」
「アオバ大丈夫か?」
「みんな!!」
支えられながら立ち上がると、逃げたはずの日向の声が聞こえ、目の前に救急車が到着した。
「あ!救急車来たぞ!!こっちだ!!」
「早く!早く!」
「早く3人を運べ!!」