第9章 8・3抗争
「離せゴラアァァ!!」
「(ダサくたっていい。みっともなくていい。)」
ガリイィ!!
「あ゙あ゙あ゙あぁぁ!!」
さらに強く噛み締められたキヨマサは痛みのあまり悲鳴をあげるが、キヨマサもやられっぱなしでは無い。
タケミチを自身から引き離すと、拳を振り上げる。
しかし、タケミチはそれを紙一重でかわすと、後ろに回り込み、羽交い締めにすると首を締め上げた。
「マイキー君になれなくたっていいっ!!ドラケン君になれなくたっていいっ!!俺は花垣武道だああぁぁ!!!」
「離せ!コノオォォォ!!」
「絶っ対ぇ離すな!タケミっち!!」
「あ゙あ゙あ゙あぁぁ!!」
「あ────」
気管と頸動脈を圧迫され段々と意識が保てなくなったキヨマサは白目を向いて気絶した。
グラりと後ろに倒れると、一緒に倒れたタケミチは空を見上げ、ニッと笑みを浮かべた。
「勝った....?リベンジ.....成功....」
「タケミチ君!」
「来んな!ヒナ!」
「(根性見せたろ....?ナオト。オレ、キヨマサぶっ倒したぜ。でもごめん。ナオト....ミッションは失敗だ。)」
心の中でそう呟いたタケミチがレッド達に視線を向けると、刺された腕のみならず、頭や肩からも大量の血を流したボロボロのリツカの姿が写った。
タケミチがキヨマサと戦っている間
ずっと独り、片腕が使えない状態で武器を持った多数の敵を相手していたのだ。
当然の結果だろう。
『ハァハァ.....クソッ.....』
「気ぃ済んだ?」
「キヨマサダサッ!w」
「いい冥土の土産ができたじゃん。」
『バカが難しい言葉知ってんじゃん.....』
「バカはテメェらだろうが!」
「何?そんなに殺されてぇの?とんだ死に急ぎヤロウだなぁ!?」
下卑た笑い声が響く中
タケミチは無言で立ち上がる。
「ヒナ....エマちゃんと逃げて....」
「タケミチ君.....」
「オレらだけなら何とかなるから」
「でも....」
「大丈夫だ!絶対大丈夫だから....頼む。」
「うん!」
ヒナは頷くとエマの手を取って逃げ出した。
辺りには3人の荒い息だけが響き渡る。