第9章 8・3抗争
「あれあれぇ?死んでねぇじゃん。ドラケンちゃん!」
「なんでザコミチとチビ隊長がいんの?」
「カス共が何してくれちゃってんだ?」
下卑た笑いを浮かべるキヨマサ立ちを前に、刺されて疾うに感覚の無くなった腕に再びズキズキッと痛みが走る。
『(クソッ!この腕じゃ.....)』
「(嘘だろ....リッちゃんはもう闘えない......まともに動けるのは俺だけ.....どう考えても無理だろ.....終わった....)」
「オイ!誰かガムテープ持ってこい!」
下卑た笑い声が響く中、今日に顔を歪めたタケミチは怯えたように1歩後ろへと後ずさる。
「タケミっち」
「ドラケン君....?」
「ありがとうな。タケミっち。」
「ドラケン!?動いちゃダメ!」
静止を呼びかけるエマの声を無視してドラケンは苦しそうな表情を浮かべながら、ゆっくりとした動きで起き上がる。
「ヒナちゃんとエマとリッカ連れて逃げろ。俺は大丈夫だ。」
『「("逃げろ"?)」』
2人ともゆっくりとドラケンから視線を外すと目の前のキヨマサ立ちを見すえた。
俺 今逃げようとしてた.....?
それを察して....?
こんなにボロボロなのに....
「早くしろ。タケミっち、リッカ」
『っ.....(また逃げるの?また目の前で大切な人たちを失うの?また────)』
私は....
俺は....
逃げ続けて全部無くしたのに....
2回目のまた逃げるのか!?
「あ゙あ゙ああぁぁぁっ!!!」
「?」
タケミチは淀んだ空を割るような声で叫び声をあげる。
「情けねぇ。」
『ホント、情けなくて自分に呆れてくるわ。』
タケミチは滲んだ涙を乱暴に拭うと、その瞳はもう既に怯えた色を無くし、強い光だけが灯っていた。
「ヒナ、下がってて。」
「え....」
『エマ、ドラケンのことお願いね。』
「リッカ....オマエ....その腕じゃ!」
『「ドラケン / ドラケン君」』
『「ごめん。勇気をありがとう!」』
『オレなら....オレたちなら大丈夫!』
リツカはこれでもかと笑みを浮かべ、一物の不安を抱くドラケンへと向けた。