第9章 8・3抗争
「バカリアァ!オマエなんで前に出た!出すぎんなってあれ程って言ったろ!なんで俺たちから離れた!」
『.....』
「とりあえずオマエはエマと一緒に後ろに下がってろ。その腕じゃもう喧嘩できねぇだろ。」
場地はそう言うとリツカの腕を引き後退しようとする。
どんどん離れていくドラケンにリツカは焦りから声を荒らげた。
『でも!(ドラケンが!)』
「でもじゃねぇ!大人しくしてろ!」
『嫌だ!離して圭介!!』
「オイ!その腕じゃ無理だって言ってんだろ!またあの時みたいになりてーのか!」
『(こんなことしてる場合じゃないのに!!)』
リツカは悔しさから無造作にナイフを引っ張る。
しかし、抜けることは無くただただ肉が抉れ血が滴り落ちた。
『うぐっ!!!』
「リアァ!!───オマエ!」
『い゙たあぁぁぁ!!』
「やめろ!無理矢理抜くんじゃねぇ!!」
無理やり刃物を抜こうしたリツカを場地は慌てた様子で咎める。
『圭介.....お願いこれを抜いて。』
「抜けってオマエ。素人が抜いたらヤベェーだろ。」
『時間が無いの!早くして!!』
「オマッ!動くな!!血が出てんじゃねえか!」
『そんなのどうだっていい!今はそれどころじゃないの!ドラケンが!!』
「やめろ!肉が避けるぞ!!」
「代われ。場地」
「あ?三途?」
場地の背後から合われた三途がリツカの腕に刺さった小刀の柄をキツく握った。
「俺が抜くいいな?」
『早くして!時間が無い!』
「力抜いとけよ。」
コクリ
リツカが頷いたのを確認して、三途が勢いよく刀を引く。
その瞬間、耐え難い激痛が襲いリツカは悲鳴をあげた。
『ん゙ぅ〜〜ッ!あぁぁぁッ!!』
ビチャッ!!
生々しい音ともにナイフが抜けた瞬間
リツカは腕を抑えながら立ち上がる。
『ハァハァ...ッ!』
「動くな。リアァ。どうせ止めても行くんだろ。せめて止血してけ。」
場地はそう言うとリツカの腕に巻かれた血塗れの赤黒いハンカチを解き、縛り直した。
「オラ。行け。」
『ごめん。ありがとう!圭介、ハル!』
まるで鳥籠から逃げ出した鳥のように2人の声を無視してその場から走り出した。