第9章 8・3抗争
『な、んで...』
「なぁ。天使サマ。オレお前の事気に入っちゃった♡オレらの所に来いよ。お前ならすぐに幹部にしてやってもいーぜ?そんでその真っ白な羽根もいで、オレらから離れられないようにしてやるよ。」
『狂人め.....』
「褒めんなって。」
『っ!!』
痛む腕に鞭を打ち、リツカはなんとなく抜け出すと立ち上がり、勢いのまま半間に蹴りをお見舞いした。
─────ゴンッ!!
鈍い音が響きリツカの蹴りが半間によって紙一重で止められる。
決して力が強い訳では無いがマイキーを凌ぐほど早いはずのリツカの蹴りが止められリツカは舌打ちを漏らす。
『チッ!』
「こっちの番だなぁ!?」
一瞬にして距離を詰めた半間がリツカの頬に拳をお見舞する。
ゴッ!!
『ッ!!』
殴られた衝撃で目の前がグラりと歪む。
そして半間は留めのごとくリツカの腹を蹴りを入れ、近くの壁まで飛んで行ったリツカの前にしゃがみ込む。
『ゔ...ゲホッゴホッゴホッ...(やっぱり今の私じゃ....人を本気で殴れない私じゃ.....分が悪い)』
「強いって噂だったが....そーでもねぇな。いや、ブレーキをかけてんのか?もしかして天使サマ。人を殴るのが怖ぇの?」
そう言いながら半間は小枝の様に細いリツカの両手首を片手で纏めあげると、頭上で固定する。
『うるさい。離せっ.....』
「なぁ。天使サマ。やっぱ俺らのところ来いよ。可愛がってやるぜ?」
『どんな理由があっても私は.....アンタのところなんて行かない。』
「ふーん、"私"ね。」
『.....っ!?(しまった!)』
リツカが失言したと言わんばかりに目を見開く。
それを見た半間はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「へぇ。いーこと聞いた♡今日はこれで大目に見てやるよ。」
ニヤリと笑いながら座り込んでいるリツカに近づく半間と唇にキスをしようとしてきた。
『.....やめろ!』
激痛の中、リツカはギリィ!と唇を噛むとドンッ!と半間を蹴り飛ばす。
「抵抗すんなって。傷が広がっちまうだろ?」
『オマエとキスするぐらいなら死んだ方がマシ』
「強情な女。嫌いじゃねえけどな!」
『っ!(助けてっ....マイキー!)』
振り上げられた半間の拳を前に恐怖で目を瞑ったその時