第9章 8・3抗争
『ドラケン!返事をしてよ!!』
雨と人混みで見にくい視界の中、遠くに独特な柄のカーディガンを着た大きな背中が目に入る。
『(良かった居た!見つけた!!)ドラケ───』
ドラケンに駆け寄ろうとした瞬間
その大きな身体がぐらついた。
『え.....』
ドサッ........
『嘘......』
地面を赤く染めあげるほどの血が流れ出し、遠目からでもわかるほどの血の水溜まりを作っていく。
その光景はあまりにも12年前の今日あった内部抗争の光景と酷似しており、あまりの惨状に一瞬脳内がフリーズして、カッ!と目の前が赤くなり悲鳴に近い声を上げる。
『ドラケン!!』
急いで駆け寄ろうと走り出す。
しかし、その行く手をメビウスの残党たちは好機と言わんばかりに阻んだ。
「特攻隊長がなんぼのもんじゃい!!」
「死ねええぇぇぇ!!!」
「ぶっ殺してやる!!」
『さっきから邪魔なんだよ!退け!こんなことしてる場合じゃないんだよ!!!』
倒しても倒しても湧いて出てくる敵にリツカは苦戦を強いられる。
目の前の敵に、急に倒れたドラケン。
焦らないはずがなかった。
少しずつ蓄積されていく焦りに苛立ちを覚えた瞬間
『敵が多すぎる!』
「うおおおおぉ!!」
「「隊長!!」」
目の前にいた敵が一瞬にして吹き飛ぶ。
『海國!海寿!』
「ここは俺らが引き受けます!」
「隊長は早く副総長の元に!」
『2人とも頼んだよ。』
「「〜〜っ!うっす!」」
颯爽と洗われた部下である海國と海寿の頭をポンと撫でて2人に敵を任せ、リツカはすぐさまドラケンの元に駆け寄ると返事をしないドラケンの身体を揺する。
『ドラケン!ドラケン!!しっかりして!』