第9章 8・3抗争
「愛美愛主総勢100人!対して東卍は5人。前みたいにヒヨんじゃねーぞ!テメェら!」
『(っ.....私だけなら何とかなるでも....キヨマサからドラケンを守るとなるとかなり厳しいっ。)』
「オレは長内はみたいに甘くねぇからよォ!」
【ウッス!!!】
「逃げたら追い込みかけて歯ァ無くなるまでボコるからなぁ!?」
【......ッ。ウッス!!!】
本当にやりかねない.....いや、確実に実行するだろう半間の言葉に恐怖を覚えたメビウスの残党は声を裏返しながら返事をする。
「マイキーもドラケンもまとめて鏖だぁ♡」
『(何コレ....こんなの私の記憶にもナオトの話にもなかった!こんなの聞いてない!)』
「(内部抗争は止めたはずなのに違う抗争が始まっちまった。ひょっとしてリッちゃんの見解が当たってた?だとしたら俺のせい?)」
『「(歴史がおかしな方向に行ってる?)」』
もうキヨマサやぺーやんを止めればいいっていうレベルじゃない。
どうしたらいい?
目の前の本来あるはずの無かった現実にリツカもタケミチも混乱する。
このままではミッションが失敗してしまうのでは?
焦りと混乱からか背中に冷たい汗が伝い、全身からゆっくりと血の気が引いていくのを感じた。
『この数流石にキツイかな.....』
「なーに弱音吐いてんの。リア、オレが居るじゃん。ヨユーだろ?」
『......そうだね。マイキー』
リツカは震える手を隠すようにグッと力を込めた。
頭数ではメビウスの方が上。20倍の人数が居る。
どう見ても圧倒的にあちらが有利な状況。
対して東卍は5人
いくら無敵と謳われるマイキーが居るとはいえ、ドラケンは手負いの状態で守りながらではリツカも三ツ谷も自由には動けない。
絶体絶命....そう思えた時だった。
無数の排気音が遠くから聞こえてきた。
『(このバイク音.....)』
「ふ───間に合ったか。」
「え?」
夜の静寂と闇を破るような排気音、そしてライトが辺りを照らすとマイキーは振り返り「ふっ」と笑みを浮かべた。