第9章 8・3抗争
「(....キヨマサ君がいない。ヤバいどっから襲ってくるかわかんねぇのにこの人数に囲まれたらヤバイ。)」
『(タケミチの話が本当ならキヨマサはこの混乱に乗じて襲ってくる。最悪の場合、私がドラケンの代わりに────)』
「4人まとめてやっちまえ。」
「おう!」
「行くぞォ!」
「やっちまうぞ!!」
下卑た笑い声を前にリツカは覚悟を決めた瞬間
聞きなれた排気音が遠くから聞こえてくると、不思議と焦りが消えていった。
それは三ツ谷達も同じようでさっきまで、強がりのように笑っていた三ツ谷とドラケンの顔が笑顔に緩む。
段々と近づいてくる音にメビウスの残党とぺーやんに緊張が走った。
「やっと来た。」
「この排気音」
「マイキーのCB250T(バブ)だ」
嬉しそうにドラケンが言うと目を刺すようなライトが辺りを照らし、水飛沫を上げながら1台のバイクが止まる。
「おい!あれって」
「嘘だろ.....」
「聞いてねぇぞ。」
突然として現れたマイキーを見て辺りがどよめく。
マイキーの姿を見たものは戸惑い。
またあるものは嬉しそうに笑顔をうかべた。
「マイキー.....」
「マイキー君!(よかった。これでペーやん君も止まる。)」
「なるほどね」
バイクを降り、周りを見渡すと納得した様子でマイキーはこちらに歩み寄ってくる。
「俺を別のとこ呼び出したのはケンチンを襲うためね。」
「(え!?そんな策略が.....)」
「で、俺のせいにして東卍真っ二つに割っちまおうと。」
「俺はただパーちんを!!」
「これはオマエのやり方じゃねぇ!誰にそそのかされた。」
その瞬間
確信をつかれたぺーやんの顔が強ばる。
「(それってぺーやん操ってる黒幕がいるってことか!?)」
【全部アイツの策略だったんだ......】
何かに怯え、12年前と明らかな変貌を遂げた長内
【彼の言う誰かが東卍の内部分裂を企み、長内は利用された。】
そしてナオトが言っていた言葉.....
この2つを思い出したタケミチとリツカは目を見開く。
『「(もしかして.....キヨマサも!!)」』
利用されているのではないかと気づいた2人はハッ!と顔を青くするとお互いの顔を見合せた。