第9章 8・3抗争
『タケミチ。走りながらでいい。ドラケンがキヨマサに襲われるってどういうこと?』
「ドラケン君を探してた時にたまたま見たんだ。メビウスの残党とキヨマサ君達が密会してるの。そこでドラケン君を殺すって言って小刀を受け取ってた。」
『確実に殺す気じゃんっ。人の命を何だと思ってんだよっ。』
ギリィと唇を噛みしめから三ツ谷を先頭に近くの駐車場へと向かう。
『三ツ谷の方は?』
「"パーチンを東卍が見捨てた"ぺーやんはそう思い込んでる。」
「見捨てた訳じゃ....」
「ぺーの野郎、メビウスの残党とつるんで"ドラケンをまくる"とか言い出した。」
「それって!」
────「ドラケン狩りだ。」
『状況は最悪すぎる』
「とにかくドラケン君に知らせないと!」
「ペーのバイクがあったってことはもう始まってるかも知んねぇ。場所がわからねぇ以上急がねぇと!」
三ツ谷の焦る声にその場に緊張が走る。
状況は本当に最悪だ。
このままでは.....
その瞬間
タイムリープする前のナオトとの会話がふと頭の中に過った。
【2005年8月3日
東京都渋谷区 武蔵神社周辺で暴走族グループ50人が乱闘。中学三年生の少年が刃物で腹部を刺されるなどの暴行を受け......死亡。
この中学生が龍宮寺です。】
記憶の片隅にあった新聞記事
そこには【駐車場】と記してあった。
もし、この記憶が正しいのなら.....
ドラケンは今....
カランッ。とピアスが鳴る。
そしてリツカはピタリと立ち止まると、それに吊られるようして2人も止まった。
「リッカ?」
「リッカ君、どうしたんだよ?」
『駐車場.....』
「あ?」
『ドラケンが居るのは駐車場だ!!』
「!三ツ谷君、さっきの所以外に駐車場ってありますか?」
リツカの言葉を聞いて、タケミチも思い出したのか三ツ谷に尋ねる。
すると三ツ谷は一瞬考える様子を見せるとその方角を指した。
「ウラに確か.....」
「そこです!!」
『急ごう!』
「あ....おい!」
理由も言わず駆け出した2人を、三ツ谷は混乱しながらも追いかける。
『(お願い....間に合って!!)』
森を抜け、目の前にコンクリートの地面が広がる。