第9章 8・3抗争
「これだけ?マジ?」
「なんだよ不満なのか?」
「そりゃ特賞当ててるからね。」
「くっ〜〜!確かに兄ちゃんの言う通りだな。なら仕方ねぇ!じゃあ1等のこいつらから2つ持ってきな!」
そう言うと悔しそうにおじさんは12種類のピアスと簪を差し出してきた。
「ピアスと簪?」
「ただのピアスじゃねぇぞ!天然石付きのピアスだ!簪は花がモチーフのやつだ!高っけぇんだぞ!」
オジサンはそう言うと黒いボードに乗せた12個のピアスをチラつかせる。
『(むしろそっちの方が特賞なのでは?)』
なんて思う自分の心の声を胸にリツカはピアスと簪を見つめる。
「好きなものを選びな!」
「.....」
目の前に出されたピアスをマイキーは無言で見つめた。
そしておもむろに1つの簪に手を伸ばすとそれを取り、リツカの髪に刺した。
「じゃあこれ貰う。1番リアに似合いそうだし。」
「おっそりゃお目が高いね!ソイツはジャスミンって言う花がモチーフの簪だ。意味はなんだったかなぁ.....」
おじさんは一瞬悩むような素振りを見せるとすぐに思い出したように笑う。
「そうだ!意味は【あなたは私のモノ】って意味らしいぜ!なんだ隊長さん愛されてんなぁ!」
『なっ!それとこれとは話が別です!』
「本当かねぇ〜」
さすがあの息子たちにしてこの父ありと言わんばかりの発想にリツカは顔を赤くする。
「で、もう一個はどうすんだい?」
そう問われたマイキーはピタリと動かなくなると、じっと並べられたピアスたちを見つめる。