第9章 8・3抗争
卍 卍 卍
「らっしゃい。」
射的屋の前に着くと、少しガラの悪い海國と海寿の父が2人を出迎えた。
「お?隊長さんじゃねぇか!久しぶりだな!」
『お久しぶりです。おじさん。』
「アンタらも祭りに来てたんか!」
『ええ。まあ。』
「おー色んな景品あんね。」
『あの1番小さいのが特賞みたいだね。』
「なんだアンタらも特賞狙いか?」
『アンタら"も"?』
「さっきイチャモンつけてきた奴も特賞狙いだったんだよ。言っとくがいくら隊長さんだからって言っても倒さねぇとダメだからな!」
ケッ!と忌々しそうにするオジサンにマイキーは代金を払うとコルクが詰まった銃を構える。
「リア、さっきの約束、後からなしとか絶っ対ぇ言わせねぇからな。」
『その前に倒せたらの話だけどね。』
「ハッ、生意気。」
マイキーはニヤリと笑うと引き金を引く。
────パンッ!
弾ける音がして、離れたコルクがコツンと特賞に当たる。
『わ!当たった!』
「うおぉ....マジか1発で当てやがった.....」
「もーちょいで、倒れそうだな。」
ペロリとマイキーは自身の唇を舐めると、また銃にコルクを詰める。
『絶対特賞取ってよね。』
「とーぜん。誰に言ってんの?」
また弾ける音が聞こえると、次はカタンッ。という音が聞こえた。
視線を向ければ、そこには倒れた小さな的があった。
『倒れた!』
「ほらな?」
『すごい!すごいよ!マイキー!』
「兄ちゃんすげぇな!オイちゃんびっくりしちまったぜ!」
特賞を取られたというのに射的のオジサンは清々しそうに笑うと2人に特賞の景品であろうものを差し出した。
「地図?」
「そうだ。祭りの最後に花火が上がるんだが、そこに書いてある場所は一等綺麗に見える特等席だぜ!」
『へぇ〜』
「それに穴場だから人もあんまり来ねぇ。2人でゆっくり時間を過ごせるぜ!だからほら、兄ちゃんたち持ってきな!」
そういうとおじさんは地図を渡す。