第9章 8・3抗争
後ろを振り返ると見覚えのある顔が2つ見える。
『あ....海國と海寿』
彼らの名は
花瀬 海國(はなせ みくに)と花瀬 海寿(はなせ みこと)
リツカが隊長を務める特攻隊の副隊長だ。
2人はその名の通り一卵性の双子で、昔は双璧と呼ばれ四谷を仕切っていた空暴露朱(ウロボロス)の特攻だった。
色々あり今は双璧の副隊長の異名を持ちながら、リツカの下に着いている。
ちなみに3人は同い年で言葉遣いが丁寧なのが海國、〜ッスとつけるのが海寿だ。
「「お疲れ様です!」」
2人はバッ!と頭を下げた。
『お疲れさま〜2人も祭りに来たの?』
「はいッス!親父が射的の屋台をしてまして、その手伝いついでに遊びに来たんスよ!」
「ところでリツさんは何してるんですか?」
『何ってお祭りに来たんだよ。』
「1人でッスか?」
『いや、マイキーとだけど。』
そう言うと2人はパアァ!と顔を明るくしてリツカを自身の近くまで引き寄せる。
「もう総長とは付き合い始めたのですか?キスは?キスはしたんですか!!((ボソッ…」
『まだ....って!何言わせてんだよ!』
「いいじゃないですか。教えてくださいよ!大切な隊長の交友関係知りたいんです!」
『.....海寿。本音は?』
「実は俺たちの姉ちゃんが、夏コミに出品する漫画に行き詰まってて、ネタ提供してくださいッス。姉ちゃん、総長と隊長が推しカプなんスよ!」
「じゃないと俺ら姉ちゃんに殺されるんです!」
『今回の漫画もしかして....』
「おお!察しがいいですね。リツさん。そうです、2人がモデルのBL本です!これがめっちゃ人気でして。レビュー見てみますか!」
『見せなくていい!!てか、付き合ってないっての!』
「でも好き────」
モガっ!と少し乱暴に海國の口を塞ぐ。
『それ以上言うな!マイキーに聞こえたらどーすんの!?』
「「(あまずっぺぇ〜〜)」」
「俺に聞こえたら何?」
揶揄う2人にフシャー!と威嚇していると、突然後ろから地を這うような冷たい声が聞こえていた。
一瞬にして、血の気が引く感覚がして2人の顔を見上げると、顔が真っ青に青ざめている。
『(もしかして.....)』
いや、もしかしなくもない。
リツカは覚悟を決めながら後ろを振り向くと───