第9章 8・3抗争
「代金は要らねぇよ。お嬢ちゃん」
『え?』
「アンタらカップルだろ?これはオマケだ。持ってきな!」
その瞬間
リツカの頭の中にクエスチョンマークが大量発生する。
カップル....カップル.....カップル!!??
( *'ω')ファッ!?
いや、確かに今日は中性的な格好をしているが、パッと見は男に見えるはずだ。
いや、まぁ見る人によっては女にも見えるのかもしれないのだが!!
それよりもなんでバレた!?
と、とにかく誤魔化さないと!!
『え、いやオレはおと─────
そう言おうとした時、グイッ!と手を引かれリツカの身体がマイキーの腕の中へと収まる。
「まあね、ありがとう。おっさん。」
『あ、ちょっ!マイキー!』
マイキーは屋台のおじさんに見せつけるようにそういうとリツカの手を引き次の店へと歩き出した。
『もう!何であんな事言ったの?』
「そっちの方が都合いいだろ?」
『だとしてもオレは男だし.....変な勘違いされたらどうすんの?』
「そんなの関係ないじゃん。男でも女でもリアはリアだろ?」
そういうとマイキーはこれでもかという笑みを浮かべ自身が食べていたたい焼きをまるでキスさせるようにリツカの唇に当てた。
「.....ほら、機嫌直せって。あんこ食ってみなよ。けっこう美味いぞ。」
『.....』
=͟͟͞͞ (@˙ н˙)パクッ
「美味い?」
『美味しい....』
「リア、カスタードちょーだい。」
あ。と口を開けるマイキー
どうやら食わせろという意味のようでリツカは戸惑う。
別に、たい焼きを分け与えることにはなんの躊躇もない。
なんなら、あーんなんて過去に何回もしたことある。
問題は"周りに人が居る。"ということだ。
人の目がある以上下手なことはしたくない。
それがリツカの考えだった。
しかし、ここで断ればどうなるだろう。
考えるまでもない確実に機嫌を損ねる。
拗ねたマイキーの機嫌を取るのは正直めんどくさい。
「はーやーく。」
『.....』
葛藤の末
大人しく食べさせた方が懸命だと、答えを導き出したリツカはたい焼きを持っていない手で受け皿を作り差し出すと、マイキーの口にたい焼きを運んだ。