第9章 8・3抗争
「おし!着いたぞ!」
『ホントにありがとう。』
「楽しんでこいよ。」
そういうと、戸惑いながらもリツカの頭を優しく撫でる。
『圭介はお祭り行かないの?』
「あ?俺祭りとかあんまキョーミねぇからな。」
『え〜勿体ない。あ、そうだ圭介、ちょっと待ってて。』
「?お、おう。」
リツカは思い出したようにその場からかけ出すと、2〜3分してから戻ってきた。
その手に白いビニール袋が握られていた。
『はい。送ってくれたお礼。』
「なんだコレ。」
『箸巻きと焼きそば。屋台のやつってすっごく美味しくない?千冬かオフクロさんと食べてよ!』
「おお、ありがとうな!オフクロ今日居ねーから千冬と食うわ。」
「あれ?場地とリアじゃん。」
場地がリツカからビニール袋を受け取った瞬間
2人が最も聞き覚えのある声が聞こえて来て、同時にその声の方向へと視線を向ける。
『マイキー』
「よォ。マイキー」
「何で場地がここに居んの?」
「あ?コイツが遅れそうつーから送って来た。」
「ふーん」
「じゃあ俺もう帰っから。じゃあな。」
『あ、うん!バイバイ。送ってくれてありがとう!』
「おう!楽しんでこいよ。」
場地を見送り、リツカがマイキーに向き直るとマイキーはどこか拗ねた様子でリツカを見つめていた。
『マイキー?どうしたの?』
「リア、遅れそうなら俺に言ってよ。迎え行ったのに。何で場地に言ったの。」
『圭介とはたまたま会って送って貰ったらだけだよ?』
「じゃあ次からは俺を呼べよ。」
『.....わかった。次からはマイキーを呼ぶ。』
「ん。」
マイキーは短く返事をするとするりとリツカの首の後ろに手を回しパチン。と音を立ててネックレスの金具を外した。
『え?何してるの?』
そのままネックレスをリツカから奪い取ると、チェーンを指輪から引き抜き、リツカの左手を手に取る。
そして、まるで結婚式の指輪交換のようにリツカの薬指に指輪を嵌めた。