第9章 8・3抗争
「おじょ────『ああ!!もうこんな時間!』
バッ!とリツカは勢いよく立ち上がる。
『あ、ごめん。東堂、何か言った?』
「いえ、何も言っていませんよ。昨日倒れたばかりですし、くれぐれも気をつけていってらっしゃいませ。」
『うん!行ってきます!』
財布と携帯、いつも持ち歩くメディカルポーチの入ったボディーバックを手に取ると部屋から慌てて出ていった。
「(アイツらとつるむ様になってお嬢様の身体に傷が増えていっている....このままじゃいつか....)」
東堂は自身の手を見つめると悔しそうに目を瞑るのだった。
「(守ると誓ったのに.....)」
卍 卍 卍
『やばいやばい遅れちゃう。』
リツカは白銀の髪をなびかせながら、武蔵神社に向かって走る。
「あ?リアァ?」
このままでは間に合わないかもしれない。そう思った瞬間
聞きなれた声が聞こえて、視線を向けると愛機ゴキに乗った場地が視界に入る。
『圭介!』
「なんか今日洒落てんな。」
『お祭りだからね。』
「馬子にも衣装ってやつか?」
『.....それ全然褒めてない。圭介、実はオレのこと嫌いだったりする?』
「そんなわけねぇだろ!!俺は─────」
『うわ!急にどうしたの?』
「.....っンでもねぇよ。てか、そんなに急いでどーした。」
『実はマイキーとの約束の時間に遅れそうで.....』
「あ〜.....そういう事か。オラ、リアァ」
納得した様子を見せた場地は自身の首につけていたヘルメットを外すと、リツカに投げ渡す。
『わ、わぁ!』
「それつけて後ろに乗れよ。送ってやる。」
『え!いいの!?』
「おう。遅れたらアイツ面倒だろ?」
『圭介の後ろに乗るの久しぶり!』
「オマエ、俺らとニケツするの好きだよな。」
『だって圭介たち、オレより運転上手し、すごく安心するんだ。(皆が生きてるって....)』
「昔は怖い怖い言ってたのによ。」
『むぅ。それは昔の話でしょ!今は好きなんだって!』
「へーへー(好き....ね。それも悪くねぇな)」
場地はどこか悪戯っぽく笑う。
そして、リツカが後ろに乗り、腕を回したのを確認すると安全運転で神社へと向かった。