第8章 喧嘩とすれ違う思い
────『オレが全部悪かったから....もうオレに構わないでよ。』
「っ!!よくねぇだろ!こっち向け!」
『ヤダ。』
「リア!」
『嫌だ!!!』
パンッ!!リツカは肩を掴むマイキーの手を跳ね除ける。
『ずっとずっと苦しいんだ....マイキーと居ると胸が痛い.....オレのこと嫌いなんだろ?なら....何でオレを助けたの?オレはメンドくせェ奴なんだろ?東卍に要らないんだろ?助ける必要なんてなかったじゃん....』
「違っ!それはっ!」
『気まぐれで手を差し伸べて突き放すくらいなら....最初から助けないでよ。』
ポロポロとアメトリンの瞳から涙がこぼれ落ちる。
「.....ごめん。リツカ」
『!?』
「......あの時は頭に血が上ってて、オマエのことメンドくせェとか本当は思ってなかった。俺どっかでオマエに甘えてたんだ.....オマエならどんだけ傷つけても許してくれるんじゃないかって.....
オマエを傷つけるつもりも追い詰めるつもりもなかった.....本当にごめん。」
『......』
「俺さ、オマエが大切なんだ。オマエが俺以外の奴に傷付けられたらソイツを殺しなくなるぐらい。」
『!』
マイキーはそういうとまるで親元を引き離される子供のように必死にリツカを抱きしめる。
「だから、もう構うななんて言うなよ。謝るから....許してくれなくてもいいから.....オレから離れないで、嫌いにならないで....全部嘘だから....ずっと俺の側にいて....」
『マイキー....その言葉信じていいの?オレマイキーのそばにいていいの?』
「!当たり前じゃん。だからこっち向いて。」
『.....』
ゆっくりとリツカは振り返る。
その頬には一筋の雫が伝っていた。
「やっとこっち向いた。あーあ。こんなに泣いちゃって。俺のせいだよな。ごめん。」
マイキーはそう言うとまるで縋るようにリツカの身体をきつく抱きしめる。
普段弱い所を見せない彼が、今は自分の腕の中で15歳のただの少年になっていることにリツカは少し笑みを零した。