第8章 喧嘩とすれ違う思い
卍 卍 卍
「〜!リア!〜っ、クソ!」
なんだろう.....
身体が揺れている。
誰かに背負われているのか、トクントクンと自分のでは無い鼓動と少し暑い熱が伝わって来て心地がいい。
『ぁたかい.....』
リツカはうっすらと開けた目をまたゆっくりと閉じると、深い眠りへと落ちていった。
次に目を開けた時は見知らぬ天井か広がっていた。
額を覆う冷たくひんやりとした感覚に少しずつ意識が覚醒していく。
『ここは......』
リツカは霞がかった焦点を合わせるために何度か瞬きをすると、ゆっくりとした動作で視界を巡らせる。
コンテナの壁にL字のソファー、季節外れのストーブ、どれも見覚えのあるものでここがマイキーの部屋だと理解するのにそこまでの時間は必要なかった。
『なんでオレ....』
男が吸っていたタバコの煙をかけられて、意識がとおくなって公園のベンチに倒れたはずだ。
重たい身体をゆっくり起き上がらせる。
「よォ。リッカ。目ェ覚めたか。」
突然声が聞こえてきて、弾かれたように声の方向に視線を向けると、呆れた様子のドラケンがこちらを見つめていた。
『ドラケン....オレ』
「倒れてるお前を見つけたマイキーが運んできたんだよ。ったくあんな所で昼寝するなよ。気をつけろ。」
ドラケンは少し面倒くさそうにそういうと、バギッ!と音を立ててスポーツ飲料水の蓋を開けてリツカに渡す。
『ありがとう.....』
「リッカ。」
『ん?』
「マイキーは少なくともオマエのことを嫌いになんてなってねぇし、会いたくないとも思ってねぇ。いい加減自分の中で何でも解決させようとする癖直せ。少しはマイキーの話も聞いてやれ。」
ドラケンはそう言うと部屋を出ていってしまう。
1人残された部屋でリツカは気まずそうに視線を泳がせてあると、ドラケンと入れ違いになるようにしてマイキーが部屋へと入ってきた。