第8章 喧嘩とすれ違う思い
『エマ?どうした?』
「ううん。なんでもない。リツ兄は誰かと行くの?」
『今年は誰とも行かないよ。』
「え!?なんで!!リツ兄、毎年マイキーと行ってたじゃん!」
『あーいや、うーん。』
詰め寄ってくるエマに言葉を濁すとあさっての方向を見つめる。
いや、本当はマイキーと行きたい。
しかし言い合いというか、喧嘩?した後だ。
まだ仲直りだってしていない。
こっちから誘うにも気まずすぎるし、マイキーだって今の私とは行きたくないだろう。
それに私はマイキーに嫌いと言ってしまった....
『今年は気分じゃない.....かな』
「でも、誘われてはいるんでしょ?」
『あーマイキーからは誘われてないかな....他の人からは誘われてるけど....』
「え!?誰々?」
『えーと、学校の女の子たち、3年の先輩たち、ルナとマナ、知り合いのレディース、臣君、ワカちゃん、ケイ君....その他もろもろ。』
リツカは指折りをしながら、数えていく。
「相変わらず男にも女にもモテるね。てか後半暴走族じゃん。」
「リッカ君、人たらしだもんね。顔も美形だし。そこらのモデルさんより綺麗。」
『たらしてるつもりはないんだけどなぁ.....それにオレの顔は普通だよ?』
「何言ってるの!リッカ君!」
『!?』
「リッカ君が学校でなんて言われてるか知ってる!?微笑みの天使だよ!!女の子も男の子も惚れちゃうほどすっごく顔がいいんだから!!」
『え、え!?えぇ!!!?そんなこと言われてんの!?恥っず....』
「それよりさぁー本当にお祭り行かないの?」
『うーん.....誘われてるし、行っては見ようかなぁ。すぐ帰ると思うけど。』
「誰と行くの?」
さて、どうしたものか。
引く手数多と言え、こんなにも多くては選ぶのにも一苦労だ。
ヒナの質問にうーんと唸るリツカの頭にある人物の顔が浮び上がる。
『(もしかしたらもう既に誘われてる可能性あるけど、圭介辺りにでも聞いてみるか。)』
そう思い。
その人物の名前を口にしようとした瞬間
エマが声を上げながら、どこかに走って行ってしまう。