第8章 喧嘩とすれ違う思い
睨みをきかせるドラケンを他所にマイキーはスタスタとどこかに歩いていく。
それを見てタケミチは一瞬「わかってくれたのか?」と思ったのもつかの間、マイキーは目の前のロードバイクを軽々と片手で持ち上げた。
「ブハッ!!」
『!?』
「ちょ!マイキー君!それ俺の愛車の疾風号!」
『ちょ、ちょ、ちょ!!ストップ!流石にそれは洒落にならない!!』
静止を求めるタケミチとリツカの声を無視して、マイキーは(っ・-・)╮ =͟͟͞͞🚲ブォンとロードバイクをドラケンに向かって投げ飛ばす。
ガシャン!!!
勢いよく投げられたロードバイクをドラケンは即座にヒラリと躱す。
すると、勢いの止まらなかったロードバイクは壁にぶつかり、轟音を立てながら見るも無惨な姿に成り果てた。
「あ゙あ゙あ゙ぁぁぁ!!俺の思い出があぁぁ!!」
『(一瞬でバラバラに....)』
まるでムンクの叫びよろしく、嘆き叫び出したタケミチの隣でリツカはヒクヒクと顔をひきつらせた。
「テメェ正気か!?」
『(いや、正気だったら自転車なんてモン投げないよ.....)』
流石のドラケンもさっきのマイキーの奇行に怒りを覚えたのか、転がっていたバットを手に取る。
「ドラケン君!それは小4の時に初めてホームラン打ったゴールデンバット!!」
「やんなら───トコトンだ!!」
べキッ!!!
タケミチの嘆きも虚しく、ゴールデンバットは真っ二つに折れる。
『あ。』
「あ─────」
あまりのショックに声無き声をあげるタケミチを他所に、2人は手当り次第にお互いに物を投げ合う。