• テキストサイズ

さよならマイヒーロー【東リべ】

第8章 喧嘩とすれ違う思い


『ねぇ、ドラケン。状況だけでも────』


そこまで言うとリツカの顔が青ざめ、一瞬『早くお見舞い終わらせとけばよかった』と後悔する。

それ何故か....

目の前に修羅場が広がっていたからだ。
どうやらお見舞いから帰るドラケンと、ちょうどお見舞いに来たマイキーが鉢合わせたのだ。


「あん?なんでテメェがココいんだよ?」


「あ?テメェこそなんでココにいんだ。」


「え!?マイキー君!?」


『(うわぁ.....シリアだ.....治安のいいはずの日本があそこだけシリアみたいになってるよ.....近づきたくないなぁ。)』


なるべく2人にバレない程度の距離を保ち、様子を伺う。


「オレはタケミっちのお見舞いだよ。」


「俺もそうだよ。」


「は?タケミっちは俺のダチだし、お前には関係ないじゃん。なぁタケミっち?」


「え?えっと.....」


「あ?何言ってんの?俺のダチだよなぁ!?タケミっち。」


「あぅ.....」


バチバチと2人の間に火花が散り、辺りがどんどん剣呑なムードになっていく。
これはやばいと思ったタケミチがすぐ様止めに入るが2人は止まることは無かった。


『(うわぁ....)』


ライオン(マイキー)と龍(ドラケン)の板挟みを食らうコーギー(タケミチ)を前に同情の念が沸き上がる。すると


「リッカ!リッカ!((ボソッ…」


と頭上から声が聞こえた。


『?』


上を見上げると、目の前の修羅場に顔面蒼白の溝中五人衆が此方を見て、止めろと言わんばかりに指を指していた。


『.....(止めろってことね。)』


よくもまぁ、簡単に言ってくれるものだ。
私はあの日からマイキーと折り合いが悪く、気まずくてまともに顔を合わせてない。
ましてや今日はドラケンと行動を共にしている。
それを彼が知ればどうなるだろうか?


言わずもがな。
確実に機嫌を損ねることは目に見えていた。


しかし、このままにする訳にも行かず、目の前のカオスな惨劇にリツカは大きなため息を漏らすと、3人に向かって歩いていく。
/ 636ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp