第8章 喧嘩とすれ違う思い
卍 卍 卍
『予想以上に遅くなっちゃったな。』
タッタッタッ!と小走りでタケミチの家に向かう。
すると前方のタケミチの家の表札の前で独特な柄のカーディガンを来た大柄な背中が見える。
『あ、おーい!ドラケン!』
「おせぇぞ。リッカ!スイカぬるくなっちまうだろうが。」
『ゴメンゴメン。思いのほかラッピングに時間かかってさ。』
「何作ってきたんだ?」
『みんなに好評だったフルーツタルト!今回は種類増やしてみた。』
「へぇ。美味そうだな。」
それから2人でタケミチのお見舞いへと向かった。
絶対安静と言われている割には、タケミチは元気にしており、部屋には既にお見舞いに来た溝中五人衆がいた。
「パーは結局1年以上出てこれねぇ。」
スイカとタルトを食べ終えたドラケンは出された麦茶を肩手に語り出す。
「メビウスの長内は?」
「生きてる。死んでたら成人まで出てこれねぇよ。」
『良かった.....』
「マ、マイキーくんは?」
タケミチがなるべくドラケンを刺激しないように笑顔で問いかけた瞬間
────ドンッ!!
部屋に轟音が鳴り響く。
音の方向に視線を向けるとどうやらドラケンがパズルの置かれた机を叩いたようで、タケミチが3日間寝る間も惜しんで完成されたパズルは破壊されていた。
「あのヤロウっ....ふざけやがって。」
『あ....』
「ああ〜!!!」
絶望に打ちひしがれるタケミチを他所に立ち上がったドラケンは目の前の6人を見すえる。
「───とにかく。俺はマイキーと縁切るわ。東卍も終わりだ。」
『!?』
「な、何言ってんスか!終わりって....」
『何言ってんの?ドラケン....』
「冗談ッスよね?」
「邪魔したな。リッカ。帰んぞ。」
『え、あ、ちょっと待って!』
「ちょっとドラケン君!東卍が終わるってどういうことっすか!状況教えてくださいよ!」
何も答えず前を歩いていくドラケンをタケミチは必死に止める。