第8章 喧嘩とすれ違う思い
「リツカ坊ちゃん、お茶が入りましたよ。包帯を変えるのでこっちに来てください。」
『....わかった。』
もうそんな時間かと部屋の時計を一瞥しながら立ち上がると東堂の向かいの席へと座った。
「あの....お兄ちゃん....」
『ん?』
「ココ最近元気ないけど....何かあった?」
『....別に。何も無いよ。』
不安そうな目を向ける杏花にリツカは心配かけまいと笑ってみせ、ヨシヨシと頭を撫でる。
「うそ!」
『え?』
「絶対何かあった!そんな怪我してるのに何も無いわけないじゃん。」
『え、いや、本当に何も無いよ.....?』
鋭い杏花の言葉にギクリと肩を揺らしたリツカ
すると追い打ちをかけるように東堂も杏花の後に続く。
「その割には最近、生傷が耐えませんけどね。」
『ゔっ....』
「図星なんですね。」
『だってー』
「だってじゃありません....はぁ。この前も手を怪我したばっかりでしょう。」
『あ〜そうだっけ?』はにゃ(੭ ᐕ))?
「考えても見てくださいよ!大切な主人が傷口パックリ、血塗れの手を見せながら呑気に
【東堂〜怪我した〜手当して。】って言ってくるんですよ!?なんですか!?あのカオス!!その時の俺の気持ちとしたら....」
「と、東堂落ち着いて.....」
「無理です。」ズバッ
ブツブツと文句を垂れながら東堂はリツカの首に巻かれた包帯を解く。
解かれた包帯の下には赤い手形と赤黒い5本の引っかき傷が残っていた。
『ねぇ。東堂、杏花....』
「はい。なんですか?」
「何?」
隠すことでもないか....そう思ったリツカは意を決して2人の名前を呼ぶ。
『大切な人からは拒絶されて、大切な人達が目の前で争い始めるのってこんなにもつらいんだね....』
悪いことだってわかっててもパーちんを無罪にしたいマイキー
パーちんの覚悟を大切にしたいドラケン.....
2人とも譲れない思いがあるから喧嘩になってしまった....
周りもそれに便乗して、一触即発....
仲が良かったもの同士が、お互いを忌み嫌い、憎み、罵る。
私はどうしたら良かったんだろう....