第7章 分かたれる道
勝利宣言が終わった瞬間
辺りにけたたましいサイレンの音が鳴り響く。
「ヒィッ!」
「おい!逃げるぜ!!」
サイレンの音を聞いたメビウスの残党は怯えるように外へと走り出す。
「ヤベ、警察(サツ)だ。」
「え!?ケーサツ!?」
「俺らの勝ちを祝いに来たのかぁ?」
「あはは!」
さっきとか打って代わり、柔らかな雰囲気となったマイキーがぺーやんの言葉を聞いて笑い出す。
「逃げんぞ〜!タケミっち!」
「あ、はい!なんでそんなに余裕なんスか。」
「リア!お前も来い!」
マイキーは振り返るとリツカに向かって手を伸ばす。
『うん!』
リツカは笑顔でそう答えるとマイキーの手に手を重ねる。
そしてキツく握り合うとその場から走り出した。
「おいメビウス!」
ビクッ!
「自分らだけ逃げようとしてんじゃねぇよ。長内に肩貸してやれ。」
「は、はい!」
ドラケンの指示に姿勢を正すメビウスの残党たち。
『(これで終わりなの?)』
「.....」
【抗争はきっかけに過ぎなかったんだ.....】
「(長内はああ言ってたけど、抗争は何も無く収まっちまった。これで終わりじゃないってことなのか?)」
『「("キッカケ"何が見落としてるのか?)」』
リツカとタケミチの思考が一致する。
その瞬間微かに金属音がリツカの耳に届く。
『?』
マイキーに手を引かれながら、リツカは音の方に視線を向けるとナイフを持って走り出すパーちんの姿が目に入った。
『!?パー!ダメだ!やめろ!!』
ドスッ!!
リツカの声が届くか届かないかの瞬間
パーちんは長内の腰の当たりを刺し、力一杯に刃をねじ込む。
「あ゙....あぁ」
「あ?」
「テメェだけは許せねぇんだよ。長内」
長内から苦しそうな声が聞こえ、驚いた様子のドラケンがパーちんを突飛ばす。
「何やってんだよ!パー!!」
その場の全員の動きが止まる。