第7章 分かたれる道
「パーちんが負けたと思ってる奴。全員出て来い俺が殺す。」
殺気を放つその瞳を前に、メビウスのメンバー全員が固唾を飲む。
「東卍は俺のモンだ。俺が後ろにいる限り誰も負けねぇんだよ。」
『(やっぱりマイキーはすごいな....)パーちん。東卍が勝つよ。』
「あ....ぁ。」
「ゴメン。ケンチン。やっちゃった。」
「はぁ。しょうがねぇーな。マイキーは。」
ドラケンはわざとらしく肩を竦め笑う。
「う......うぅ.....」
かろうじて意識が残っていた長内が割れた酒瓶を手に取るとゆらりと立ち上がる。
「あああああ゙あ゙あ゙!!!」
「長内!!!」
「あぶねぇ!マイキー!!」
ドラケンがマイキーを庇うように立ちはだかる。
『ダメ!!ドラケン!!』
「ああああ゙あ゙あ゙ーっ!!!」
「長内!!」
止める2人の声を無視して長内はドラケンに向かって酒瓶を突き出した次の瞬間
辺りに鮮血が舞った。
しかし、血を流していたのはドラケンではなく、ドラケンにより膝蹴りをお見舞された長内だった。
「グハァッ!!」
「長内。テメェが何で負けたか教えてやるよ。」
「あがっ!」
「不良の道、外れたからだ。」
長内の手から割れた瓶がこぼれ落ち、パリンッ!と辺りに甲高い音が響き渡る。
「女回したり、親襲ったりよォ。やってる事がクソなんだよ。」
そしてドラケンは戦意を喪失し、力なく崩れる長内からメビウスの残党に鋭い眼光を向ける。
「いいか?また外道な真似しやがったら、俺らがとことん追い詰めて殺しに行くかんな!」
「コイツらヤベェ....」
「マジで中坊かよっ.....」
ドラケンの脅しに恐怖し慄いた残党たちがたじろぎ逃げ腰になる。
「テメェらの頭はうちのマイキーがノシた!!文句ある奴いるかぁ!!?」
全ての視線がマイキーへと集まる。
「居ねぇなら───今日からメビウスは東京卍會の傘下とする!!」
「(スゲェ勝っちまった!こうやって東卍はデカくなって行ったのか。)」
『(勝ったとはいえ、長内の証言と合わない。気を抜くのはまだ早いってことかな?)』