第7章 分かたれる道
美しく、強い光を放つ瞳からハラハラと涙がこぼれ落ちる。
『だから退かない....ううん。退けない!お願いマイキー.....メビウスとの抗争をやめて。』
「リア。お前俺に逆らうの?」
『っ!?』
殺気を孕んだ瞳がリツカを射抜く。
その威圧感は息をすることさえ許さず、その場を全員が息を飲んだ。
『逆らうことになったとしても、オレは退くつもりはない。』
「あっそ。なら、お前東卍から抜けろよ。」
『!?』
「マイキー!お前何言って!リッカは────」
「ケンチンは黙ってろ。俺の....東卍の意思にそぐわない奴は要らない。どうするリツカ。辞める?」
今までに聞いた事が無いほど冷たいマイキーの声にリツカの小さな体が震える。
今のマイキーの顔はリツカが好きなわがまま暴君の佐野万次郎の顔ではなく、東京卍會 総長 佐野万次郎の顔をしていた。
『それで抗争が止まるのなら....私は────』
「俺退けないっすよ!!」
抜ける。そう言おうとした瞬間
それを遮るようにタケミチは声を荒らげた。
「メビウスとやり合えば東卍は終わります!!せっかくマイキー君やドラケン君と仲良くなったのに!!」
「チッ!わかんねーヤロウだなぁ!!」
『タケミチ!!』
土下座するタケミチにパーちんが拳を振り上げる。
リツカは咄嗟に二人の間に入ると、タケミチを庇うように立ちはだかった。
『っ!!』
殴られる。そう思い覚悟を決めて目を瞑ると襲ってくるはずの痛みが来なかった。
『?』
恐る恐る目を開けると、拳を振りかざすパーちんを止めるように、ドラケンがその手を掴んでいた。
「何すんだよ。ドラケン。」
「.......2人が退かねぇーって言ってんだ。少しメビウスを調べてもいいんじゃねーの?マイキー。」
「あ?ケンチン。お前東卍に楯突くの?」
「は?そういう話じゃねえだろ。」
「そういう話だよ。」
険悪な雰囲気が当たりを支配する。
ピリピリとした空気が2人から漂い始め、その場の全員が息を飲むと、巻き込まれまいと息を潜める。