第7章 分かたれる道
「でも流石警察だよな!ナオトは!」
『たった数時間でここまで調べあげるんだもん。』
「用心してくださいよ。2人とも。」
「おせぇぞ!!!長内!!!」
申し訳なさそうな男が入っていった工事現場から耳をつんざくほどの怒号が鳴り響く。
3人はその声に方をすくませると声の聞こえた方へと走った。
「え?長内....?」
「何ちんたら飯食ってんだゴラ!?」
「え、でも時間通りに....」
「人一倍仕事出来ねぇーなら、人一倍仕事しろ!!」
「え、あの人が長内??メビウスの元総長!」
『ちょっと....いや、随分?変わった....ね??』
「すごく混乱してますね。義姉さん。」
「なんかの間違いじゃねーの?」
「......」
ナオトは悩むように目を瞑ると、しっかりとした目で2人を見すえた。
「話を聞いてみましょう。」
ナオトに促され、リツカ達は警察の職務質問という手を使って長内を連れ出すと、近場のカフェへと向かった。
「あの....僕が何か....」
「いえ、先日事件を起こした"東京卍會"について調べてまして」
「!」
【東京卍會】という単語を聞いた瞬間
さっきまで居心地悪そうにしていた長内が微かに息を飲む。
3人はそれを目で捉え、何かあるなと長内に視線を向ける。
「貴方は12年前、暴走族メビウスの総長として東京卍會と対立していましたね?その時のことについて───」
─────バンッ!!
我慢ならない。そういった様子で長内は話を遮るようにテーブルに手をついて勢いよく立ち上がる。
平然とするナオトとリツカに対して、タケミチはびっくりた様子で仰け反った。
「話すことはありません...」
「貴方は龍宮寺堅の死に関与している。」
「違う....それは....」
「メビウスのメンバーが彼を刺した。」
まるで取調べをするかのように問いつめるナオトにリツカもタケミチも不安そうな顔を向ける。
「違う」
「貴方が命令して殺したんじゃないんですか?」
「違う!!」
長内は席に座り直し、まるで何かに怯えるように身体を震わせ、顔を覆い隠す。
「......」
しばしの沈黙が流れる。
すると先程までの黙っていたリツカが唇を切った。